参考図書

References

10か条は、いままで読んだ本などによって得た知識を、
自分の経験で裏打ちした上で、私の脳みそから捻り出し、
整理して10か条とし、肉をつけたものではある。
自分自身咀嚼した上で書いたこととはいえ、
どこかの本に書いてあったことの実は受け売りになって仕舞っているのではないかと、
心配している。
ともあれ、参考図書として以下に掲げる。

コンサルタントの秘密 G.M.ワインバーグ 訳:木村泉 共立出版 ISBN4-320-02537-7

私が持っているのはその当時買ったもので、初版一刷。
1990年発行。これはとんでもない本に出会ってしまった、という認識だった。
値上がりしたものの、いまでも本屋やAmazonで買える。
何か1冊読もうとしたらこれを強くお奨めする。
名前にコンサルタントと書いてあるけれども、これに惑わされないように。

スーパーエンジニアへの道 G.M.ワインバーグ 訳:木村泉 共立出版 ISBN4-320-02563-6

これも持っているのは初版一刷。1991年発行。
原著の題名は Becoming a Technical Leader となっている。
つまりリーダーたらんと欲した場合にいかにしたら良いかが書いてある。
「コンサルタントの秘密」よりはより具体的に細かく書いてある感じ。
2冊目に読もうとする場合の本。

以上の2冊を読みさえすれば、私の10か条なんて捨てて構わないのである。
だが合計で500ページくらいある。しかも濃い。
ので、裾野の底上げを目的として私の10か条があり、
3合目くらいから先はこの2冊を必携の書として登っていくのがよい気がする。

私はわざと最近読み返していない。10か条をまとめたのが2013年。
肉付けしてこのWebSiteを作ったのが2018年。
あまりワインバーグさんの引力に影響されすぎないように離れていたのだ。
一通りこのWebSiteも作ったので、読み返してみようと思う。

ワインバーグさんの著作としては、他に、

ライト、ついてますか ドナルド.C.ゴース、G.M.ワインバーグ 訳:木村泉 共立出版 ISBN4-320-02368-4
ワインバーグのシステム思考法 G.M.ワインバーグ 訳:大野徇郎 共立出版 ISBN4-320-02706-X

などがある。

グロービズ MBA クリティカル・シンキング グロービズ経営大学院 ダイヤモンド社 ISBN978-4-478-02058-6

2015年頃に読んだ本。人に薦められて、読んだら、結構10か条に当てはまる部分が、ぽろっ、ぽろっ、と登場して、10か条の自信を深めた本だった。
内容はもっと深く細かいので、これも3合目あたりから先で役立つと考える。

情報処理教科書 プロジェクトマネージャ 翔泳社

私が持っているのは2006年版と、2007年版。当然いま買うならその当年版がいいだろう。
プロジェクトマネージャ試験は、(受かったから言わせて貰うのだが)、
勉強するなら午後I(記述式)がとても有用である反面、午後II(論文)があまり有用でないように思っている。

午後Iは、たとえばA社とB社でCプロジェクトを推進するマネージャDがいて、あんな状況やこんな状況でマネージャDが「難しいと考えた」、と説明されており、出題が「Dが難しいと考えた理由は何か」と答えさせるものになっている。つまり第ニ条に書いた「何もしない」に陥らないアクションを問うており、現在の状況->思考->対策、みたいに想像力を未来方向に向けるので、実態に即しており、とても有用となる。

午後IIは、マネージャはああいう状況下でこういう手を打つ場合があるでしょ? ではそのようなあなたの体験を書いて。という出題になっている。論文のお題にドンピシャの体験を持ち合わせている確率は少なく、多かれ少なかれ想像力を働かせて、自分の似たような各種体験をつなぎ合わせて論ずることになる。論文の教科書ではこの想像力が実務に役立つのだぁーと書いてあるものもある。しかしこの想像力は、こういう状況下でこういう手を打ってうまく行った、という結論に当てはめるように、過去方向にさかのぼって働かせる必要があるので、実態には即しておらず、あまり有用でない、と思っているのである。午後Iまでは完璧で、午後IIで何回も連続して落ちた経験のヒガミかも知れないが。…

まあいずれにしても、午後Iは有用なので、試験を受ける受けないは別として、お奨めする。

ご冗談でしょう、ファインマンさん I R.P.ファインマン 訳:大貫昌子 岩波書店 ISBN4-00-005363-9
ご冗談でしょう、ファインマンさん II 同 ISBN4-00-0005364-7
困ります、ファインマンさん 同 ISBN4-00-005368-X

マネジメントとか、情報処理とかとは畑違いの、ノーベル賞物理学者の本である。
頭のいい人は本質を掴んで行動するから、示唆に富んでいる。
カーゴカルトについて書かれている。これは、第六条で書いた、見よう見まねのこと。
またスペースシャトル・チャレンジャーの事故調査委員になった活躍は、第二条 問題の発生と原因の追究の過程となる。
私が持っているのは昭和の時代に出版されたものであるが、いま買おうとすると2000年に岩波現代文庫に入ったものを買うことになるようだ。

アイアコッカ わが闘魂の経営 リー・アイアコッカ 訳:徳岡孝夫 ダイヤモンド社 ISBN4-478-32011-X

これまた古い本で全く恐縮である。昭和60年の本で私が持っているのは69版。
絶版になっているようだ。しかしベストセラー本だけあり、Amazonで古本が大量に出品されている。
1970年代、日本車攻勢にやられてぼろぼろだったクライスラーを立て直した人の本。
具体例が結構10か条に当てはまるのではないかと思っている。
ずいぶん久々に部分的に読み返してみたが、出典不明で頭に残っていたフレーズ
「死ぬときに真の友が五人いれば、すばらしい人生だったと思え」P173
「開いた口がふさがらなかった…というより、口を開ける元気もなかった」P204
などはこの本だったのか、と再発見した。

社長失格 板倉雄一郎 日経BP社 ISBN4-8222-4130-0

こちらは立て直せずに倒産させてしまった体験を綴ったもの。
後ろ四分の一は融資や増資の話がみっちり出てくるなど、臨場感があって、この切羽詰った状況では、分かっていてもなかなかに第ニ条適用は難しかったろうと思わせる。
いかに推進力を発揮するのが大変か考えさせられる。
成功譚は世に多い中、失敗譚を書き下ろした書は有難くとても参考になる。

ピーターの法則 L.J.ピーター/R.ハル 訳:田中融二 ダイヤモンド社 ISBN4-478-76000-4

1970年訳出の本で、私の持っているのは1991年の40版。
いまは新装版が出ている。
前頁「補遺」の、ニハチの法則の中で、2割の社員が8割の業務をこなすと書いたが、なぜそのようなことが起こるのかについては、このピーターの法則が説明してくれる。
ノーベル賞受賞者の田中耕一さんは、受賞後、役員にする話が持ち上がったが、これを断ったらしい。これはピーターの法則を回避しようという意図だったように想像される。