プロジェクトを推進していくと、いずれは、結末にたどり着く。
・納期と品質を守ってプロジェクト終結。
・何とか納期に間に合ったが品質が悪い。
・納期を守れず品質も良くない。ただメンバは疲弊したが正気を保っている。
・メンバに鬱で出社しなくなる社員が出て問題に発展。
・メンバに過労死が出て大問題。
第二条にあるように、問題が発生したら原因をつかんで対策を打つのであるが、 納期を過ぎてから・過労死が出てから、手を打ったのでは遅い。
先手必勝である。
物事が起きる前に先んじてリードするからリーダーというのであって、 物事が起きてから対処するのではフォロワーである。
気がついて危機感を持っている人は、こんなセリフを言ったりする。
「このままじゃ大変なことになる」
気がついても危機感のない(推進力のない)人は、こんなセリフを言う。
「まあお客様も、まだ何も言ってきていないから」
「まだ問題視されていないから」
お客様に・上司に・誰かに、何かを言われてから行動するのでは遅い。
リスクマネジメントが最たるものである。
まだ訪れていない未来のリスク(前方にある見通しの悪い交差点を通過すると何か起きるかも)に対して、あらかじめ、前もって、考え、あらかじめ、前もって、具体的なアクションをする。
リスク低減: | 見通しの悪い交差点を徐行して進む。 何かあったらすぐブレーキを踏めばかすり傷程度で留めることが出来る。 |
リスク回避: | 見通しの悪い交差点は通らずに、 ちょっと遠回りだが大通りを行けば事故は起こらない。 |
リスク転嫁: | 見通しの悪い交差点はタクシーを呼んでタクシーで通過する。 事故ってもタクシーの運ちゃんが責められるだけ。 |
何も考えずに見通しの悪い交差点に突っ込み、実際に事故が起きてから対処するのでは遅い。
何かが起きる前に、認識して、行動するにはどうしたらよいか。
よく観察する
よく見ていれば、見通しの悪い交差点が前方にある、と分かる。
あるいは第二条のフィードバックループでいうと、ガードレールにぶつかって、音を立てて、ボディがへこんだり、ヘッドライトが割れたり、する前に、迫り来るガードレールに気づかないといけない、またはそこまでコトが重大となる前に、クルマが徐々に左に寄っている、ということを観察できれば、何の問題も無い。
この点は第六条で関連事項を述べる。
よく読みとる
その交差点に差し掛かるずっと前に、計画している経路と地図を読み合わせて、見通しの悪い交差点を通過することになる、と読み取れるはず。
各種「管理表」などによって手元に情報が集まってきても、それを読み取れないマネージャや、読み取らないといけないという使命をそもそも認識していないマネージャが多い。
この点は第五条で関連事項を述べる。

兆候をつかむ
たとえばスケジュールで説明する。
プロジェクトマネージャの教科書に載っていることだが、スケジュールマネジメントの極意は、
「遅れはほとんどの場合取り戻せない。
だから遅れは早期発見することが大切。
遅れる前に、兆候をつかんで手を打つことが出来たら完璧」
となっている。
進捗管理していて、遅れが出たら、もうおおむね敗北、と思ったほうがいい。
(そこで更に手が打てないと、完敗、となる)。
敗北しないで済ますには、遅れが出てから手を打つのでなく、遅れが出る前に、手を打つ。
そのためには兆候を掴むことが大事だ。
教科書には、兆候をつかむ具体例として、残業時間を把握する、という例が載っている。
その日のうちにやらないといけないことが終わらない、そのときは残業してやりおおせる。
この段階では、スケジュールに遅れは発生しておらず、問題となっていない。
でもプロジェクトが遅れの要因を抱えていて、これに手が打たれず、残業がさらに増えてくると、ついに、終電まで残業しても終わらない、という事態になり、そこから先は、もうどうしようもなく、スケジュールに遅れが発生する。
だから優れたマネージャは、スケジュールマネジメントをするとき、ガントチャートやら何やら、進捗が分かる管理表だけ見るということをせず、
勤務表だのタイムカードだのもチェックし、遅れの兆候を掴み、そうしたら第二条により、遅れの原因を見極め、遅れる前に対策をとる。
スケジュールマネジメントに限らない。品質悪化の予兆・リソース不足の予兆・コストが膨らむ予兆などに目を光らせる。
それでも何かが発生してしまったら、対処はもちろんだが、そればかりでなく、
その発生を予見することは出来なかったろうか、
どうしていたら予見できただろうか、
と考えて、マネジメントに対してフィードバックを掛ける。