第五条 判断が命

Rule 5: The manager without making right decision is useless.

技術者とか作業員とかは、作業で飯を食っている。
管理職は、箸より重いものを持たず、判断で飯を食っている。

ということは、もし管理職が、判断を間違ったら、存在価値など無い。
だからマネージャは、判断を正確にせねばならない
(正確に判断をするためにはどうしたらよいかは第七条で述べる)

管理職は判断で飯を食っている、はず、なのだが、これが当てはまらないで無駄飯を食っているマネージャも多い。

管理職のやらないといけない仕事は、3つに分かれる。
・雑務
・コントロール
・マネジメント

これを勤怠管理で説明する。

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雑務(Chore) :

月末か、翌月一日に、メンバの勤怠管理表を集める。提出が遅れているメンバに提出を促す。
提出されたものをチェックして、記載誤り・計算誤りを正す、またはメンバに修正させて再提出を受ける。
正しいとなったらそれらを合計するなど集計作業をしたり、取りまとめて上司や総務部に廻したりなどする。
これらは雑務に相当する。名前が日本語では「勤怠管理表」などというから、管理のように勘違いしやすいが、決してそうではない。
確かに責任者がやらないといけない仕事ではあるが、雑務に過ぎない。
この雑務だけをもって、われこそは管理職なり、と思っている人も多い。
そういう人はその先に、コントロールやマネジメントがあると気づいていない。

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コントロール(Control):

欠勤が多い、遅刻が多い。このようなメンバは呼んで叱らないといけない。叱るのは管理職のつらい仕事のひとつである。
残業が多い。たとえば月末とかでなくて月の中ほどで残業チェックして、この分だと月末までには限度のXX時間を超えてしまいそうだ、などとなったときに(第三条に従い、そうなる前に)、メンバを呼んで、残業に気をつけよ、もっと残業を減らすように、などと指示する。
雑務とコントロールの違いは何かというと、雑務はデータを作っているが、コントロールはデータを読み取っている、というところにある。
勤怠管理表のExcelは、雑務とコントロールの間に位置している。雑務のOUTPUTがExcelであり、ExcelをINPUTとしてコントロールする。
よって雑務は実は「作業」であり、コントロールは読み取った結果の「判断」に基づくアクションである。判断こそが管理職の仕事。これで飯を食っているのだ。だからコントロールが出来ていない人は管理職の資格が無いが、コントロールだけで良い訳でもない。それが次のマネジメントだ。

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マネジメント(Management):

第二条に基づき、理由を考え、理由が分かったら対策をとるのがマネジメントである。
何でこうも欠勤や遅刻が多いのか。士気が低下しているから。なぜ士気が低下しているのか。XXだからだ。じゃあXXをどう改善していけばよいか。ああしてみたらどうか。こうしてみたらどうか。じゃあ今回はこうしてみよう、奏功しなかったらああしてみようじゃないか。
残業が多いのはなぜなんだ。業務効率が落ちているためだ。どうして効率が落ちるんだ。先月はXXでまだなんとか助かっていたが今月はYYで如実に効率が落ちてるんだ。じゃあこうしてみたら。ああしてみたら。
コントロールとの違いは、理由を掘り下げているかどうか、となる。

管理だったらなんでも一緒だが、たとえば温度管理もそうだ。
タンクの薬液を25度に保たないといけない。温度を測ってExcelでグラフを書いてみる。「温度管理表」と名をつけるが、これは管理でなく雑務。
この表やグラフから読み取って、温度が上がってきたから冷却水ポンプをON、下がってきたからヒーターをON、として温度を保つのがコントロール。
何でこうも温度が上下するのか、断熱材が足りないのか、15時に上がる傾向があると読み取れるが西日が当たっているからじゃないのか、ひさしを作ったらどうか、として予算獲得の上、組織横断的に設備課に話を持っていって、ひさしを建設する、のがマネジメント。

進捗管理だったら、ガントチャートで遅れが表現されるまでが雑務、遅れに対する当面のアクションがコントロール、遅れの原因をつかみ対策をとるのがマネジメント。となる。

マネージャたるもの、作業だけやっていたのではいけない、判断をしてこそ、存在価値がある。判断が命である。