第三条のように、未来を見据えるマネージャの資質とは、つまるところ、「遠くを見据える眼力」となる。
時間軸で遠くを見据えると未来が見える。
違う軸でも遠くを見据える。
目の前のシステムの進捗だとか、発生しているバグの数とその対応した数とか、メンバーのこととか、売り上げとか。
そういうのも大事だが、そのさらに先、遠く先にあるのは、お客様である。
このお客様のことをすっかり忘れてしまっているマネージャが多い。
National/Panasonicの創業者・松下幸之助さんは、
「利を追うと利は逃げる。お客を追うと利が追ってくる」
といっている。
当然企業は、営利団体であり、ボランティアではない。
よって利益は大事だ。
しかし必要以上に、目に$マークや¥マークが浮き出してしまうビジネスマンは多い。
でも利益のことは、視野の真正面でなく、端に置く(利益を度外視するわけには行かないから、見えるところには置く)。
そして真正面に見据えるのは、お客様だ。
とにかくお客様のために、全力を尽くす。
そのためには目の前のシステムのことだけでなくて、それがどうお客様にかかわってくるのかを常に考える。
そうしてお客様に尽くしていると、不思議に自然と利益が出ている。
イヤだイヤだ、といっても、儲かってしまう状態となる。
これが出来ないマネージャは以下のようなセリフを吐く。
「まあお客様はまだ何も言ってきていないから」
「そこまでは言われていないから」
あるいは、
お客様を満足するために、品質を上げないといけない、品質特性は6つあるのに、機能性の充足だけ、
「動きさえすればいい」
と考えてしまう。
お客様でなくて仕様が神様として、現在の仕様のほうを必要以上に崇め奉り、お客様が不満に思っても
「仕様です」
といってしまう。
お客様を満足するために、ちゃんとした人材を集めないといけない、なのに、
頭数だけ数え、JavaとEclipseが出来る人、という人の集め方をする。
これらは目の前にあるものだけが見え、遠くを見据えることが出来ず、だからお客様を忘れてしまっている人たちの言動である。
お客様のことは、片時も忘れてはならない。